
このたび、極セカイ研究所(代表:黒嵜想)は、「国際的非暴力展SUM_MER_2025」の関連イベントとして、漫画『南緯六〇度線の約束』作者の妹尾朝子さんをゲストにお迎えし、国際芸術展「南極ビエンナーレ」の記録映画である《古典元素の探究者たち》の上映と、極地にまつわる表現について語るクロストークを開催いたします。
『南緯六〇度線の約束』は、第二次世界大戦後、北海道をソヴィエトに占領された日本を舞台とした、日本で一番有名な「イヌ」をめぐる、もう一つの「南極物語」ともいえる漫画です。
一方の私たち極セカイ研究所は、南極をはじめとする極地にまつわる文化的実践を広く研究・批評する組織です。雑誌の制作やイベントの実施を通じて、極地の「文化」を浮かび上がらせようとしています。
なぜ人は南極を目指すのか。なぜ日本人は、あの時南極を目指したのか。そして、私たちは今、なぜ南極に魅せられているのか。北緯35度の地からお届けする、現代アートとヒストリカルSFが交わる、唯一無二のイベントをお楽しみください。
妹尾朝子×黒嵜想「なぜ極地を 描く/書く のか?」映画《古典元素の探究者たち》上映会&クロストーク
日時|2025年8月2日(土)15:30-18:00
会場|HAPS HOUSE(〒601-8004 京都市南区東九条東山王町1)
定員|20名(予約優先)
入場料|2000円
ゲスト|妹尾朝子(二人組漫画家うめ・作画)
聞き手|黒嵜想(極セカイ研究所所長)
司会|沢田朔(極セカイ研究所総務)
主催|国際的非暴力展実行委員会
共催|極セカイ研究所
協力|一般社団法人HAPS
助成|京都市「Arts Aid KYOTO」補助事業
ご予約はこちらから:https://forms.gle/dTW5dtXZxtKzF4rw9
■登壇者プロフィール

妹尾朝子(せお あさこ)
二人組漫画家 “うめ” の作画担当。代表作は『東京トイボックス』シリーズ、『STEVES』、『ニブンノイクジ』など。現在は、日本の第一次南極観測隊 × 獣人をテーマにしたヒストリカルSF『南緯六〇度線の約束』を小学館ビッコミにて連載中。
*公式ページ http://www.chabudai.com

黒嵜想(くろさき そう)
1988年生。批評家。極セカイ研究所所長。批評誌『羅(うすもの)』編集長。批評誌『アーギュメンツ』での連載・編集をきっかけとして活動開始。音声と南極を中心的な関心とし、仏教音楽「声明」に関する連載「声をかく」のほか、自身が編集する南極誌『P2P』ならびに「極論」(同誌掲載)などがある。
https://kurosoo.works/

沢田朔(さわだ さく)
1991年生。アートマネージャー。2017年より京都市の芸術家支援団体に奉職する傍ら、アートマネジメントの実践として、アートスペースの立ち上げ・展示企画・出版活動等を行う。2023年より京都精華大学非常勤講師、極セカイ研究所総務。
https://x.com/memobook39
■『南緯六〇度線の約束』について

日本でいちばん有名なイヌの物語。
『東京トイボックス』シリーズ、『スティーブズ』のうめ(小沢高広、妹尾朝子)劇的新境地!
南極観測隊の史実に、驚きの「if」を取り入れた意欲作。
戦後日本。
軍の人体実験施設から逃走し、家族との再会を夢見る兄弟。
ふたりの少年は苛烈な使命と対峙する!
人はなぜ敵を作るのか。
人はなぜ人を殺めるのか――。
いかなる境界線も存在しない極限の地から、私たちに「今」を問う物語。
戦後日本の激動期、南極に渡った兄弟が切り拓く運命の物語。超重厚ヒストリカルSF!
https://bigcomics.jp/series/712c372c816a7
■《古典元素の探究者たち》について

アリョーナ・イワノワ=ヨハンソンによる映画《古典元素の探究者たち》(2019)は、2017年に開催された「南極ビエンナーレ」の記録映画です。極セカイ研究所は、「P2P」0号において、「南極ビエンナーレ」のコミッショナーであるアーティスト、アレクサンドル・ポノマリョフ氏のインタビューを敢行し、彼から《古典元素の探究者たち》の上映を託されました。50分に満たない短編とはいえ、南極で実施された芸術祭という極めて珍しい取り組みの貴重な記録であり、映像作品としても魅力を放っています。
多様な人材が一隻の船に乗り合い、世界で唯一の「どの国でもない」土地で敢行した「南極ビエンナーレ」という試みは、今なお私たちに、平和と芸術の関係について、重要な示唆を与えています。
※上映は日本語字幕となります。
■国際的非暴力展SUM_MER_2025について

本展は、世界的パンデミックの影響が続く中で、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ虐殺に代表される、市民の生命と人権を脅かす暴力に対し、アーティストたちが「非暴力」「反戦」の声を届ける展覧会です。2022年夏にアーティストたちが声をあげて始まり、今回で4回目となります。ひとりで悩むのでも、無力感に打ちひしがれるのでも、見て見ぬふりをするのでもなく、作り、手を動かし、集まり、展示することを手放さないようにしようという声から、この展示は始まっています。デモや、寄付や支援、具体的なアクションや学習を忌避する態度としてではなく、本展は、それぞれが得意なこと、やりたいと思うことをやりきることが、ひとつの抵抗になると信じるものです。
https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2025/12587/